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微生物培養におけるアレルゲン残留リスクと対策

近年、ヴィーガン認証やハラール対応を背景に、微生物培養工程から肉エキス等の動物由来成分を排除するアニマルフリー化を進める企業が増えています。代替資材として大豆ペプトンが広く利用されていますが、動物由来成分を排除できる一方で大豆アレルゲン成分の残留や持ち込みという新たな品質保証上の課題が生じるケースもあります。

こちらでは、培養工程におけるアレルゲン残留の発生メカニズムやBtoB取引への影響、自社製造で生じる技術的課題のほか、アレルゲンフリーと高収量を両立するための具体的な解決手段について解説します。

大豆ペプトン使用に伴うアレルゲン残留の課題

最終製品である菌末自体が大豆由来でなくとも、培養プロセスで大豆ペプトンを用いた場合は品質管理が不可欠です。培養培地の構成成分が製品品質や法規制上の問題に直結する背景について整理していきます。

培地成分の残留・持ち込みメカニズム

培養タンク内で微生物を増殖させた後、遠心分離や膜分離プロセスを通じて菌体を回収します。しかし、培養液中に溶解している大豆由来タンパク質が微量に菌体表面へ付着・吸着する現象回収液とともに持ち込まれるリスクが存在します。

一般の食品添加物では、最終製品で効果を発揮しない微量な持ち込みに対してキャリーオーバーとして表示免除が認められる制度が存在します。しかし、アレルギー物質においてはキャリーオーバーによる表示免除の規定が原則適用されません。微量な検出であっても品質保証の観点から明確な管理と開示が求められます。

食品表示基準とBtoB原料取引における影響

日本の食品表示基準において、大豆は特定原材料に準ずるもの(表示推奨品目)に位置付けられています。義務表示ではないものの、BtoBの原料取引においてはアレルゲン物質の持ち込み自体が採用の見送りに直結する大きな要因となります。

アレルゲンが微量でも残存している場合、最終製品の仕様書やパッケージに「大豆を含む」旨の表示が必要となる場面が生じます。これにより、アレルゲンフリーを厳格な採用条件とする取引先の要件を満たせなくなり、市場参入や販路拡大の機会を損なうリスクが高まります。

自社製造時に直面する洗浄と培地変更のジレンマ

取引先からのアレルゲンフリー要求に応えるため、製造現場では残存アレルゲンを低減させる対策が行われます。しかし、従来の製造設備や手法のままでは技術的なトレードオフが発生します。

過剰洗浄による生存率・収量の低下

培地由来の大豆成分を規格値以下まで洗浄・除去するには、遠心分離の多段階化やろ過・加水洗浄の試行回数を増やす手法が一般的です。しかし、過度な物理的せん断力や浸透圧変化の繰り返しは菌体に著しいダメージを与え、生菌数の大幅な低下を招く要因となります。アレルゲン濃度を下げるほど生産効率が悪化するという構造的課題は、特に大量生産へのスケールアップ時に顕著化します。

代替培地変更に伴う生育阻害

洗浄プロセスの負荷を避けるため、エンドウ豆ペプトンなどアレルギー表示対象外の資材へ培地を変更するアプローチも存在します。しかし、乳酸菌をはじめとする特定の微生物は高度な栄養要求性を持つため、培地組成の僅かな変更によって増殖速度や到達菌数が著しく低下するリスクを伴います。

結果として、ラボレベルでのアミノ酸バランスや炭素源・窒素源の再設計が必要となり、商用化スケジュールの大幅な遅延につながります。

高収量とアレルゲン管理を両立する培養受託会社の活用

アレルゲンの完全除去・低減と菌体の生存率・高収量維持という双方の要件を満たすには、高度な分離精製ノウハウを有する微生物受託会社への外部委託が有効な選択肢となります。

菌体ダメージを抑える高度精製技術

専門の培養受託会社は、菌体の細胞壁や活性を守りつつ培地成分のみを分画・除去する膜分離や連続遠心分離の適したプロトコルを保持しています。対象菌種の生理特性に応じた洗浄条件を適用することで、高い生菌数を維持したまま厳しい残留基準をクリアする菌末の製造が可能となります。

アレルゲンフリー培地での培地最適化ノウハウ

受託会社では、大豆不使用のアレルゲンフリーかつアニマルフリー培地であっても、過去の培養データベースを活用して菌の生育速度を高める独自処方や流加培養制御の技術を保有しています。自社内で試行錯誤を重ねる開発工数を大幅に削減し、短期間で事業化レベルの生産性を確立できます。

交差汚染を防ぐ品質保証体制

食品グレードに対応した専門受託工場では、CIP(定置洗浄)やSIP(定置滅菌)による製造ラインの厳格な洗浄バリデーションが実施され、製造間での定着・交差汚染リスクを排除しています。原料のアレルゲン分析証明書やハラール関連書類の発行支援を含め、厳しい品質保証体制のもとで製品化を進められます。

まとめ

アニマルフリー化に伴う大豆ペプトンの採用は、大豆アレルゲン残留という新たな品質管理上の問題を引き起こす可能性があります。BtoB取引においてアレルゲンフリーの要求が高まる中、自社設備のみで残留低減と高収量維持を同時に達成することは難しく、開発の停滞を招く原因となり得ます。

技術的ジレンマを解消し、要求仕様を満たす製品を早期に市場へ投入するには、高度な分離精製技術とアレルゲンフリー培地の構築ノウハウを持つ受託培養会社をパートナーとして選定することが、合理的な解決策と言えるでしょう。

自社製品のアニマルフリー対応や培地変更に伴う収量・アレルゲン管理に課題を抱えている場合は、ハラール需要に対応している微生物培養受託会社を紹介していますので、検討時の参考にあわせてご覧ください。

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培養目的別に探す「微生物 培養受託」会社3選

ここでは、「目的に応じた強み」「対応の柔軟性」「一貫した生産体制」の3つのポイントを基準として選定した、微生物培養の受託会社を紹介。

2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社から、食品用や医薬品、化粧品の目的別に選定した3社を紹介します。

「食品用」なら
池田糖化工業
池田糖化工業
引用元:池田糖化工業公式HP(https://www.ikedatohka.co.jp/)
代表的な取り扱い微生物
  • 乳酸菌
  • ビフィズス菌
  • 麹菌
「食品用微生物」培養受託会社
としての強み
   

食の中間原料メーカーとして110年以上の歴史と実績があり、各種食品用微生物の独自株や特殊条件の培養にも対応。
ハラール製品の製造の専用工場を持ち、海外展開を考えているメーカーの大量培養にも対応可能

対応の柔軟性

製造条件の検討段階でも受託でき、研究開発スタッフによる提案が受けられます。

また、試作の相談も可能で、納得できるまで改良に応じてくれるなど、要望に応じて柔軟な対応をしてくれます。

培養から加工まで
一貫したサービス
「医薬品用」なら
神戸天然物化学
神戸天然物化学
引用元:神戸天然物化学公式HP(https://www.kncweb.co.jp/)
代表的な取り扱い微生物
  • 大腸菌
  • 放線菌
  • カビ
  • 酵母
「医薬品微生物」培養受託会社
としての強み

有機化学品の研究開発企業として、創薬の研究からプロセス開発、商品化までの全てのステージを支援しています。
培地や培養方法といった培養条件を提案するなど柔軟に対応。

対応の柔軟性

培養条件が決まっていなくても、神戸天然物化学から提案が可能です。また、最大5,000Lまでスケールアップができるのも強み。

精製技術など様々な技術を統合して、独自の知見から幅広い要望に応える体制を構築しています。

培養から加工まで
一貫したサービス
「化粧品用」なら
三省製薬
三省製薬
引用元:三省製薬公式HP(https://www.sansho-pharma.com/)
代表的な取り扱い微生物
  • 乳酸菌
  • 酵母
  • 担子菌
  • 麹菌
「化粧品微生物」培養受託会社
としての強み

60年以上にわたる、皮膚科学に基づく美容成分の研究で培った開発力と製薬技術を活かし、化粧品の製造から販売を行っています。
OEM・ODMまで幅広く相談が可能です。

対応の柔軟性

植物や微生物など、さまざまな素材からの化粧品原料開発が可能です。

また、小ロットの依頼やオリジナル化粧品原料の開発から生産まで、幅広く対応できます。

培養から加工まで
一貫したサービス
 

選定条件:2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社を次のポイントで精査しています。

①目的に応じた強みがあるか
②対応の柔軟性
③OEMなど一貫したサービスを提供しているか

上記すべての条件を満たす会社のうち、以下の目的別に3社を選定しました。
・「食品用」の微生物培養:池田糖化工業・・・食品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、食品事業として最も創業が古く歴史が長い。
・「医薬品」の微生物培養:神戸天然物化学・・・・医薬品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で唯一、創薬研究からプロセス開発研究、医薬品のGMP製造まで、創薬の全工程において対応している。
・「化粧品」の微生物培養:三省製薬・・・化粧品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、唯一原料開発からOEM生産まで一貫してサポートしている。