としての強み
食の中間原料メーカーとして110年以上の歴史と実績があり、各種食品用微生物の独自株や特殊条件の培養にも対応。
ハラール製品の製造の専用工場を持ち、海外展開を考えているメーカーの大量培養にも対応可能。
食品メーカーがハラール市場へ参入する際、意外な落とし穴となるのが「微生物検査や細胞培養で使用する培地」の存在です。培地は微生物や細胞の生育の土台となるため、ハラール認証を受けるには最終製品だけでなく、培地を構成する微量成分まですべてハラール基準を満たす必要があります。
こちらでは、ハラール食品開発において見落としがちな培地成分のリスクや許容される代替成分、そして専用の検査・培養環境を構築するための現実的な解決策を解説します。
厳格なハラール認証の審査では、最終製品に禁忌物質(ハラム)が含まれていないことは当然の前提です。それに加え、原材料の調達ルート、工場の製造ライン、品質検査の工程まですべてが追跡・審査の対象となります。
発酵食品の製造に必要な微生物培養や出荷前の品質検査で行う微生物検査も例外ではありません。これらの工程で使用する培地に豚由来の酵素や不適切に処理したウシ由来成分が使われている場合、ハラールとして承認を得ることは不可能です。
工場内にハラール専用の製造ラインを設けていても、品質検査室でハラール非対応の培地を扱っていればコンタミネーションのリスクが生じます。培地は液体や粉末の状態で流通するため、外観から禁忌物質の有無を判別することは困難です。
微量でもハラム成分が混入した疑いがあれば、認証取り消しや製品回収に発展し、ブランドの信頼を大きく損なう恐れがあります。製造現場のみならず、検査環境においても成分を徹底管理する体制が求められます。
イスラム教において、豚は最も厳格に忌避される存在です。微量の混入や接触も完全に禁止されているため、培地の主要な栄養源である「ペプトン」や「トリプトン」を豚の胃や膵臓由来の酵素で分解・抽出しているものは使用できません。また、培地を固形化する寒天の代わりにゼラチンやコラーゲンを使用する場合も、豚由来成分が含まれていないことを完全に証明する必要があります。
牛や鶏などの肉・骨由来成分であっても、イスラム法(シャリーア)に則って適切に屠畜されていない場合はハラムと判定します。たとえば、細胞培養で頻繁に用いるウシ胎児血清(FBS)は、屠畜前の母牛の胎児から採取する性質上、ハラールとして認められません。一般的な牛エキスや骨由来のゼラチンも、適切な処理手順を踏んだ証明がない限り培地への添加はできません。
製造や抽出の過程でアルコールを用いた成分も、厳格なチェック対象です。純粋に化学合成した工業用エタノールなどは、飲料用ルートを介していないという理由で許容する認証機関もあります。しかし、ワインやビールなどの醸造工程から発生したエタノールや酒類をベースにした抽出物は、原則として培地成分に含めることはできません。
食品の安全性を確認する品質管理において、大腸菌群の検出や一般生菌数の測定は欠かせない工程です。しかし、これらの検査で頻繁に使用されるLB培地やTSA培地(トリプトソーヤ寒天培地)には、微生物を効率よく増殖させるための強力な栄養源が含まれています。具体的には、タンパク質源としての肉エキスやタンパク質分解酵素(トリプシンやパンクレアチンなど)です。
これらの酵素の多くは豚の膵臓などを由来としているケースが多く、そのままではハラール対応ラインでの検査には使用できません。食べるわけではない検査用途であっても、工場内にハラム成分を持ち込むこと自体が制限されるため注意が必要です。
「検査用の培地成分は最終製品に直接入らないから問題ない」という認識は、ハラールの世界では通用しません。原材料の調達から製造、検査、保管、輸送に至るまで、すべてのサプライチェーンがクリーンであることが求められます。最終製品が安全であっても、途中の検査工程でハラムと接触した可能性がある時点で、ハラール性を担保できなくなります。
ハラール基準をクリアして微生物や細胞の培養・検査を行うには、以下のような代替成分や許容成分を選定する必要があります。
従来の牛や豚由来のペプトンに代わり、大豆や小麦などから抽出した「植物性ペプトン」が有効な代替手段となります。また、酵母エキスについては、通常のビール醸造の副産物は使用できませんが、純粋培養により製造したハラール認証済みの酵母エキスであれば許容の対象です。さらに、石油化学製品から完全に化学合成したアミノ酸など、動物由来成分を一切含まない合成培地や無血清培地も活用できます。
生育効率などの理由でどうしても動物由来成分が必要な場合は、ハラール認証を取得している牛などから抽出したペプトンやエキスを選定します。イスラム法に則り適切に屠畜した証明書(ハラール証明書)が付属する原材料を調達し、成分表やメーカーの仕様書とあわせて厳重に管理することが必須です。
代替成分が存在するとはいえ、自社内で完全にハラール対応の培養・検査環境を整備し、それを維持していくには実務上の大きな壁が存在します。
植物由来培地やハラール認証済みの培地は、一般的な検査用・培養用培地と比較して購入単価が高く、安定した調達ルートの確保が困難です。また、認証機関への登録更新費用の発生やロットごとにメーカーからハラール証明書を取り寄せて保管・管理する煩雑な事務作業も大きな負担となります。
既存の検査室や培養庫がある場合、ハラール用と非ハラール用で設備や動線を完全に分離する必要があります。既存設備をハラール用に切り替える場合も、イスラム法に則った特殊な洗浄(7回洗浄など)や徹底した清浄化に対応できる構造への改修が求められ、多額の設備投資が必要です。
認証を維持するには、ハラール管理責任者を配置し、従業員への継続的な教育を行う義務が生じます。「非ハラール成分が微量でも混入すればライン全体が汚染される」というリスク意識をスタッフ全員で共有し、日常的なオペレーションのなかでコンタミを確実に防ぐ手順を確立・徹底することは、決して容易ではありません。
自社での環境構築が難しい場合、すでにハラール対応のノウハウと設備を持つ受託会社へ培養や検査をアウトソーシングすることが、製品化への近道と言えます。
ハラール専用の培養タンクや検査室を備えた受託サービスを利用すれば、自社での高額な設備投資やライン改修を行うことなく、試作やスケールアップ生産を開始できます。また、万が一コンタミが発生した際も、自社のメイン工場の稼働を停止するリスクを回避できます。
食品系の品質検査や発酵サポートの実績が豊富な受託会社は、HACCPなどの食品安全マネジメントとハラール運用の双方に精通しています。ハラール基準という厳しい制限のなかでも、微生物の生育や収量を最大化するための代替培地の選定ノウハウを持っており、的確なアドバイスが期待できます。複雑な書類審査や監査対応もスムーズです。
ハラール認証済みの高価な培地も、専門の受託会社であれば独自のルートで一括調達・管理しているため、培地単体の調達コストを抑えられる可能性があります。専門人材の採用や教育コストも不要になり、ハラール適合証明書の収集手続きなども一任できるため、自社リソースを製品の企画やマーケティングに集中させることが可能です。
ハラール市場向けの食品開発においては、最終製品だけでなく、製造や検査で使用する「培地成分」に至るまで、豚などの禁忌物質(ハラム)を完全に排除しなければなりません。植物性ペプトンなどの代替成分を利用することは可能ですが、微量なコンタミも許されない厳格な管理体制、高額な設備投資、専門人材の育成など、自社で環境を構築するには高いハードルが存在します。
「現在の検査体制がハラール基準を満たしているか不安」「安全かつ効率的にハラール製品を開発したい」とお考えの品質管理・研究開発担当者の方は、ハラール専用の環境と実績を持つ微生物受託機関への相談を検討してはいかがでしょうか。
以下の特集ページでは、ハラール需要に対応可能な受託会社を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
増加するハラール需要…
微生物培養受託会社の
取り組みや設備を特集!
食品事業で110年超の実績を誇る老舗メーカーが"ハラール専用"工場を稼働予定。
ハラール認証を目指す企業に向けた取り組みや充実の設備を紹介します。
ここでは、「目的に応じた強み」「対応の柔軟性」「一貫した生産体制」の3つのポイントを基準として選定した、微生物培養の受託会社を紹介。
2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社から、食品用や医薬品、化粧品の目的別に選定した3社を紹介します。

食の中間原料メーカーとして110年以上の歴史と実績があり、各種食品用微生物の独自株や特殊条件の培養にも対応。
ハラール製品の製造の専用工場を持ち、海外展開を考えているメーカーの大量培養にも対応可能。
製造条件の検討段階でも受託でき、研究開発スタッフによる提案が受けられます。
また、試作の相談も可能で、納得できるまで改良に応じてくれるなど、要望に応じて柔軟な対応をしてくれます。

有機化学品の研究開発企業として、創薬の研究からプロセス開発、商品化までの全てのステージを支援しています。
培地や培養方法といった培養条件を提案するなど柔軟に対応。
培養条件が決まっていなくても、神戸天然物化学から提案が可能です。また、最大5,000Lまでスケールアップができるのも強み。
精製技術など様々な技術を統合して、独自の知見から幅広い要望に応える体制を構築しています。

60年以上にわたる、皮膚科学に基づく美容成分の研究で培った開発力と製薬技術を活かし、化粧品の製造から販売を行っています。
OEM・ODMまで幅広く相談が可能です。
植物や微生物など、さまざまな素材からの化粧品原料開発が可能です。
また、小ロットの依頼やオリジナル化粧品原料の開発から生産まで、幅広く対応できます。
選定条件:2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社を次のポイントで精査しています。
①目的に応じた強みがあるか
②対応の柔軟性
③OEMなど一貫したサービスを提供しているか
上記すべての条件を満たす会社のうち、以下の目的別に3社を選定しました。
・「食品用」の微生物培養:池田糖化工業・・・食品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、食品事業として最も創業が古く歴史が長い。
・「医薬品」の微生物培養:神戸天然物化学・・・・医薬品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で唯一、創薬研究からプロセス開発研究、医薬品のGMP製造まで、創薬の全工程において対応している。
・「化粧品」の微生物培養:三省製薬・・・化粧品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、唯一原料開発からOEM生産まで一貫してサポートしている。