微生物培養受託会社を探せる-バイオ受託ラボ-
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微生物培養スケールアップの課題と成功に導くポイント

微生物培養のスケールアップを実施するうえで、「ラボスケールでの成功 = 事業としての成功」には必ずしもなりません。研究室で理想的な結果が得られたとしても、いざ商業生産(量産化)に移行しようとすると、思いもよらないトラブルに直面することがあります。

例えば、数リットル規模の小型装置(5Lジャー等)で最適化した条件を、そのまま5,000Lの巨大タンクに適用しても、同様の結果が出るとは限らないためです。培養容量が大きくなれば物理的な環境は激変します。量産化を急ぐあまり適切な段階を踏まずに大容量の培地へ植菌し、増殖が停滞してしまうという失敗例も見られます。

量産化を成功させるには、初期段階から少しずつ培養スケールを引き上げ、各段階で課題を抽出・解決しながら培養量を増やすプロセスが不可欠です。本記事では、スケールアップで失敗が起きるメカニズムや、現場でよくあるトラブル、そして成功の鍵となる戦略について解説します。

なぜスケールアップで失敗するのか?

スケールアップにおける最大の壁は、タンクの大型化に伴う「環境の不均一性」です。大きなタンクほど、底部と液面付近で溶存酸素濃度や栄養成分の差が生じやすく、局所的な酸素不足が起きやすくなります。また、培養中に発生する熱の冷却効率も悪化し、液内の温度ムラが菌の活性を阻害する要因となります。

これらを解消しようと攪拌速度を上げすぎれば、今度は物理的な衝撃(せん断力)によって菌体が損傷してしまうリスクが生じます。大型タンクでは、これら相反する要素を高いレベルで制御しなければなりません。

量産化の現場でよくある「3つのトラブル」

スケールアップに際しては、主に「収率(生産性)の低下」「代謝物の変化」「コンタミリスクの増大」という3つの技術的トラブルが挙げられます。

まず、多くの担当者を悩ませるのが生産性の低下です。ラボでは高濃度まで増殖した菌株も、実機(数百〜数万リットル規模)では増殖効率が半分以下に止まることがあります。これは単なる攪拌不足だけでなく、巨大タンク特有の環境不均一性が菌株の生理状態に変化を及ぼすことが原因と考えられています。

次に、代謝物の変化も大きな課題です。酸素供給量やpHのわずかなコントロールの差によって、目的外の物質(副生成物)が生成されることがあります。これにより、後工程での精製コストが大幅に増大したり、品質規格を外れたりするリスクがあるため注意が必要です。

そして、設備が大型化し配管やバルブが複雑になるほど、雑菌混入(コンタミ)のリスクも指数関数的に高まります。商業生産においては、研究室レベルとは比較にならないほど厳格な衛生管理体制が求められることになります。

成功のカギはスケールダウン

スケールアップをしたいのになぜスケールダウンかというと、工場の巨大タンクで発生し得る酸素不足や攪拌不足といった過酷な状況を、あえてラボの小さな装置で再現し、事前に対策を練るためです。

実機の大型タンクで試験を繰り返し、失敗を重ねると、その損失は一回あたり数百万円から数千万に及ぶこともあります。ラボスケールで「失敗の予行演習」を行い、原因を究明したうえで対策を講じることが、結果としてコストを抑えた事業化につながります。

また、スケールアップがうまくいかない場合は、実機と幾何学的に相似な(形状比率が同じ)実験装置を用いてデータを取得し直すことも重要です。物理的な相関性を精査することで、初めて量産化への確実な道筋が見えてきます。

微生物受託培養会社の役割

量産化のプロセス構築には多くの時間とコスト、そして専門知識が必要です。そこで、微生物受託培養会社の知見を活用することが、有力な選択肢となります。

スケールアップ実績やノウハウを備えている

微生物受託培養会社は、多種多様な菌株を扱ってきたスケールアップの実績を持っています。顧客の要望に対して、実機生産を想定した試作提案や製造プロセスのリスク評価など、プロの視点から具体的なアドバイスが受けられます。自社でゼロから試行錯誤を繰り返すよりも、専門会社の知見を借りるほうが結果的にコスト削減とスムーズな立ち上げを実現しやすくなります。

不確実な部分を外注化できる

プロセス構築における「ラーニングコスト(学習のための失敗費用)」を自社で全て抱えるのは大きなリスクです。すでに設備とノウハウが整っている専門会社へ委ねることにより、開発スピードを大幅に向上させられる可能性が高まります。特に市場投入までのスピードが求められるプロジェクトにおいて、このメリットは大きいと言えます。

まとめ

スケールアップは単に容量を拡大するのではなく、新たなプロセス開発だと言えます。物理的な制約を正しく理解し、早い段階で量産化の実務に精通したパートナー(受託会社)を巻き込むことが、製品を最短で市場へ届ける鍵となります。自社のラボ内だけで試行錯誤を続け、市場投入の好機を逃さないためにも、専門会社の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

以下のページでは、信頼できる微生物受託培養会社と選び方のポイントを紹介しています。プロジェクトの次なるステップに向けて、ぜひ参考にしてください。

培養目的で探す
微生物培養受託会社

増加するハラール需要…
微生物培養受託会社の
取り組みや設備を特集!

工場の写真
※写真提供:池田糖化工業

食品事業で110年超の実績を誇る老舗メーカーが"ハラール専用"工場を稼働予定。
ハラール認証を目指す企業に向けた取り組みや充実の設備を紹介します。

 
培養目的別に探す「微生物 培養受託」会社3選

ここでは、「目的に応じた強み」「対応の柔軟性」「一貫した生産体制」の3つのポイントを基準として選定した、微生物培養の受託会社を紹介。

2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社から、食品用や医薬品、化粧品の目的別に選定した3社を紹介します。

「食品用」なら
池田糖化工業
池田糖化工業
引用元:池田糖化工業公式HP(https://www.ikedatohka.co.jp/)
代表的な取り扱い微生物
  • 乳酸菌
  • ビフィズス菌
  • 麹菌
「食品用微生物」培養受託会社
としての強み
   

食の中間原料メーカーとして110年以上の歴史と実績があり、各種食品用微生物の独自株や特殊条件の培養にも対応。
ハラール専用工場が稼働予定のため、海外展開を考えているメーカーの大量培養にも対応可能。

対応の柔軟性

製造条件の検討段階でも受託でき、研究開発スタッフによる提案が受けられます。

また、試作の相談も可能で、納得できるまで改良に応じてくれるなど、要望に応じて柔軟な対応をしてくれます。

培養から加工まで
一貫したサービス
「医薬品用」なら
神戸天然物化学
神戸天然物化学
引用元:神戸天然物化学公式HP(https://www.kncweb.co.jp/)
代表的な取り扱い微生物
  • 大腸菌
  • 放線菌
  • カビ
  • 酵母
「医薬品微生物」培養受託会社
としての強み

有機化学品の研究開発企業として、創薬の研究からプロセス開発、商品化までの全てのステージを支援しています。
培地や培養方法といった培養条件を提案するなど柔軟に対応。

対応の柔軟性

培養条件が決まっていなくても、神戸天然物化学から提案が可能です。また、最大5,000Lまでスケールアップができるのも強み。

精製技術など様々な技術を統合して、独自の知見から幅広い要望に応える体制を構築しています。

培養から加工まで
一貫したサービス
「化粧品用」なら
三省製薬
三省製薬
引用元:三省製薬公式HP(https://www.sansho-pharma.com/)
代表的な取り扱い微生物
  • 乳酸菌
  • 酵母
  • 担子菌
  • 麹菌
「化粧品微生物」培養受託会社
としての強み

60年以上にわたる、皮膚科学に基づく美容成分の研究で培った開発力と製薬技術を活かし、化粧品の製造から販売を行っています。
OEM・ODMまで幅広く相談が可能です。

対応の柔軟性

植物や微生物など、さまざまな素材からの化粧品原料開発が可能です。

また、小ロットの依頼やオリジナル化粧品原料の開発から生産まで、幅広く対応できます。

培養から加工まで
一貫したサービス
 

選定条件:2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社を次のポイントで精査しています。

①目的に応じた強みがあるか
②対応の柔軟性
③OEMなど一貫したサービスを提供しているか

上記すべての条件を満たす会社のうち、以下の目的別に3社を選定しました。
・「食品用」の微生物培養:池田糖化工業・・・食品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、食品事業として最も創業が古く歴史が長い。
・「医薬品」の微生物培養:神戸天然物化学・・・・医薬品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で唯一、創薬研究からプロセス開発研究、医薬品のGMP製造まで、創薬の全工程において対応している。
・「化粧品」の微生物培養:三省製薬・・・化粧品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、唯一原料開発からOEM生産まで一貫してサポートしている。