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機能性表示食品制度と微生物の活用

機能性表示食品市場の拡大に伴い、プロバイオティクスなど微生物を活用した製品開発が注目されています。この記事では、機能性表示食品制度の概要や「トクホ」「栄養機能食品」「機能性表示食品」について詳しく解説します。加えて微生物の活用状況や今後の展望もまとめました。機能性表示食品制度と微生物を活用する際にぜひ参考にしてください。

機能性表示食品制度とは

機能性表示食品制度は、事業者が科学的根拠に基づき、特定の保健の目的が期待できる旨を表示したい場合に、販売前に安全性や機能性の根拠、生産・製造管理体制、健康被害情報収集体制などの必要事項を消費者庁長官へ届け出ることを義務付けた制度です。国による個別審査や許可は行われず、表示内容や機能性の根拠は事業者の責任で管理されます。届出情報は消費者庁ウェブサイトで公開されます。

特定保健用食品(トクホ)

特定保健用食品(トクホ)は、食品中の関与成分が生理学的機能等に影響を与えることにより、「コレステロールの吸収を抑える」等、特定の保健の目的が期待できる旨の表示が可能な食品です。製品ごとに有効性および安全性について、科学的根拠に基づく資料を提出し、国(消費者庁長官)の個別審査と許可を受ける必要があります。

許可の形態には、疾病リスク低減表示型、規格基準型、条件付き特定保健用食品などがあり、関与成分や科学的根拠の蓄積状況に応じて区分されます。許可を受けた製品には特定保健用食品マークの表示が義務付けられており、製品ごとに摂取目安量や注意事項等も明示されます。

栄養機能食品

栄養機能食品は、ビタミンやミネラル等の特定の栄養成分の補給・補完を目的とした食品です。国が定めた基準に従い、1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が上限値・下限値の範囲内であれば、国への個別許可や届出を行うことなく、定められた表現で栄養成分の機能を表示できます。対象は一般用加工食品および一般用生鮮食品で、表示できる機能内容や注意事項も定められています。自己認証制度であり、個別審査やマークはありません。

機能性表示食品

機能性表示食品は、事業者が科学的根拠に基づき、特定の保健の目的が期待できる旨を表示できる食品です。安全性や機能性に関する評価、生産・製造管理、健康被害情報収集体制などを整備し、販売前に消費者庁長官へ届け出ることが義務付けられています。国による個別審査や許可は行われず、届出情報は消費者庁のウェブサイトで公開されます。事業者の責任で適正な表示が求められます。

機能性表示食品の安全性や機能性

安全性の評価

機能性表示食品の安全性評価は主に三つの方法で行われます。まず、届出食品や類似食品の喫食実績(広く食べられてきた経験)の評価です。次に、既存情報(文献やデータベース)による安全性の確認を行い、必要に応じて動物試験やヒト試験などの安全性試験を実施します。さらに、医薬品との相互作用についても評価が求められます。これらの評価結果を基に、事業者が安全性の根拠を整備し、消費者庁長官へ届け出なければいけません。

機能性の評価

機能性表示食品の機能性評価は、主に「最終製品を用いた臨床試験」または「機能性関与成分に関する研究レビュー(システマティックレビュー)」のいずれかによって行われます。臨床試験では、対象者に最終製品を摂取させ、その健康への影響を科学的に検証します。研究レビューでは、一定の基準に基づき関連文献を網羅的に収集・評価し、機能性の有無を総合的に判断します。いずれの場合も、評価プロセスや結果を明確にし、科学的根拠に基づく表示が求められます。

品質管理

機能性表示食品の品質管理は、製品の安全性と機能性を担保するため、事業者に対し厳格な体制整備が求められます。加工食品の場合、製造施設や従業員の衛生管理、規格外製品の出荷防止、機能性関与成分の分析方法などが必須です。生鮮食品では、生産・採取・漁獲時の衛生管理や均質性の確保が求められます。さらに、2026年9月以降はサプリメント形状の製品でGMP(適正製造規範)に基づく製造管理が義務化されます。

機能性表示食品と微生物

機能性表示食品では微生物の利用が行われています。発酵や酵素反応、微生物そのものの活用など、その種類は多数。代表的な例として、乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスが腸内環境の改善や免疫機能調整などの機能性を示し、機能性表示食品として活用されています。また、微生物酵素によるオリゴ糖やペプチド、脂質などの機能性成分の生産、納豆菌によるビタミンKや納豆キナーゼの産生も挙げられます。発酵食品由来の機能性素材開発や、微生物代謝産物の健康機能性評価も進展しています。

トクホ表示と関連する微生物

以下は、特定保健用食品(トクホ)において認められている表示文言と、それに対応する微生物および食品成分の例を示した表です。

 
トクホ表示関係する食品成分
おなかの調子を整える 乳酸菌、ビフィズス菌の菌体、納豆菌の菌体、プロピオン酸菌による乳清発酵物、オリゴ糖、食物繊維
血圧が高めの方に適する 酵素分解ペプチド、かつお節オリゴペプチド、γ‐アミノ酪酸(GABA)、酢酸
ミネラル吸収を高める オリゴ糖
骨の健康に役立つ ポリグルタミン酸、納豆(ビタミン K)
虫歯になりにくい 酵素分解ペプチド、キシリトール、エリスリトール
血糖値が高めの方に適する 豆豉エキス
中性脂肪が上昇しにくい、脂肪がつきにくい 酵素転換油脂、グロビン蛋白分解物、豆豉エキス、EPA、DHA

引用元:シニア食育講座「微生物を利用した機能性食品の開発」講演者:森永康( https://www.jafs.org/educational_activities_business/open_lecture/open-lecture_25/healthy_eating_habits_association/pdf/senior_food_education06.pdf

プロバイオティクス

プロバイオティクスは、ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品に利用される微生物です。食品の保存性や風味向上だけでなく、腸内環境の改善や整腸作用、免疫機能調整など多様な健康機能が期待されています。乳酸菌やビフィズス菌などが代表的で、善玉菌を増やし悪玉菌を抑制することで便通改善や腸内フローラのバランス維持に寄与します。プロバイオティクスの活用には、生きたまま腸に届くことや食品中での安定性確保が重要です。発酵乳やサプリメントなどさまざまな形態で応用が進んでいます。

発酵

発酵は、乳酸菌や酵母、麹菌などの微生物を活用して食品原料を分解・変換し、保存性や風味、栄養価を高める技術です。発酵食品には善玉菌が多く含まれ、腸内環境の改善や免疫力向上、便通改善などの機能性が認められています。また、発酵過程で生成されるビタミンやアミノ酸、抗酸化物質などにより、栄養素の吸収率向上や美肌効果、老化防止など多様な健康効果が期待できます。さらに、発酵によってうま味や香りが増し、食品の付加価値も向上します。

新しい微生物の開発

プロバイオティクス製品分野では、健康に良い影響を与える新規微生物株の開発が活発化しています。遺伝子編集や高性能発酵技術の進展により、腸内環境改善や免疫機能強化など、標的機能を持つプロバイオティクスの設計が可能となりました。個別化や多様化が進んでいます。受託製造体制も整備されており、企業が独自の機能性微生物を活用した新製品開発に参入しやすい環境が形成されています。今後も市場拡大と技術革新が期待されます。

まとめ

機能性表示食品分野では、プロバイオティクスなど微生物を活用した新規製品開発が進み、市場や技術の成長が期待されています。しかし、自社製造や管理体制に限界がある場合は、専門性や設備を有する受託会社への委託も有効な選択肢です。下記ページでは、微生物培養受託会社を紹介していますので、委託先選定の参考にしてください。

培養目的で探す
微生物培養受託会社

増加するハラール需要…
微生物培養受託会社の
取り組みや設備を特集!

工場の写真
※写真提供:池田糖化工業

食品事業で110年超の実績を誇る老舗メーカーが"ハラール専用"工場を稼働予定。
ハラール認証を目指す企業に向けた取り組みや充実の設備を紹介します。

 
培養目的別に探す「微生物 培養受託」会社3選

ここでは、「目的に応じた強み」「対応の柔軟性」「一貫した生産体制」の3つのポイントを基準として選定した、微生物培養の受託会社を紹介。

2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社から、食品用や医薬品、化粧品の目的別に選定した3社を紹介します。

「食品用」なら
池田糖化工業
池田糖化工業
引用元:池田糖化工業公式HP(https://www.ikedatohka.co.jp/)
代表的な取り扱い微生物
  • 乳酸菌
  • ビフィズス菌
  • 麹菌
「食品用微生物」培養受託会社
としての強み

食の中間原料メーカーとして110年以上の歴史と実績があり、長年培ってきたバイオ技術を活かし各種食品用微生物の培養に対応。
ハラール専用工場が稼働予定のため、海外展開を考えているメーカーの大量培養にも対応可能。

対応の柔軟性

製造条件の検討段階でも受託でき、研究開発スタッフによる提案が受けられます。

また、試作の相談も可能で、納得できるまで改良に応じてくれるなど、要望に応じて柔軟な対応をしてくれます。

培養から加工まで
一貫したサービス
「医薬品用」なら
神戸天然物化学
神戸天然物化学
引用元:神戸天然物化学公式HP(https://www.kncweb.co.jp/)
代表的な取り扱い微生物
  • 大腸菌
  • 放線菌
  • カビ
  • 酵母
「医薬品微生物」培養受託会社
としての強み

有機化学品の研究開発企業として、創薬の研究からプロセス開発、商品化までの全てのステージを支援しています。
培地や培養方法といった培養条件を提案するなど柔軟に対応。

対応の柔軟性

培養条件が決まっていなくても、神戸天然物化学から提案が可能です。また、最大5,000Lまでスケールアップができるのも強み。

精製技術など様々な技術を統合して、独自の知見から幅広い要望に応える体制を構築しています。

培養から加工まで
一貫したサービス
「化粧品用」なら
三省製薬
三省製薬
引用元:三省製薬公式HP(https://www.sansho-pharma.com/)
代表的な取り扱い微生物
  • 乳酸菌
  • 酵母
  • 担子菌
  • 麹菌
「化粧品微生物」培養受託会社
としての強み

60年以上にわたる、皮膚科学に基づく美容成分の研究で培った開発力と製薬技術を活かし、化粧品の製造から販売を行っています。
OEM・ODMまで幅広く相談が可能です。

対応の柔軟性

植物や微生物など、さまざまな素材からの化粧品原料開発が可能です。

また、小ロットの依頼やオリジナル化粧品原料の開発から生産まで、幅広く対応できます。

培養から加工まで
一貫したサービス
 

選定条件:2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社を次のポイントで精査しています。

①目的に応じた強みがあるか
②対応の柔軟性
③OEMなど一貫したサービスを提供しているか

上記すべての条件を満たす会社のうち、以下の目的別に3社を選定しました。
・「食品用」の微生物培養:池田糖化工業・・・食品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、食品事業として最も創業が古く歴史が長い。
・「医薬品」の微生物培養:神戸天然物化学・・・・医薬品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で唯一、創薬研究からプロセス開発研究、医薬品のGMP製造まで、創薬の全工程において対応している。
・「化粧品」の微生物培養:三省製薬・・・化粧品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、唯一原料開発からOEM生産まで一貫してサポートしている。