としての強み
食の中間原料メーカーとして110年以上の歴史と実績があり、各種食品用微生物の独自株や特殊条件の培養にも対応。
ハラール専用工場が稼働予定のため、海外展開を考えているメーカーの大量培養にも対応可能。
新しい微生物の食品への応用の場面では、「食経験」の有無が最も大きな壁になります。しかし、闇雲に難しいわけではなく、科学的に正しい手順を一つずつ踏めば、製品化への道は確実に開けていきます。
この記事では、未知の微生物を食品原料として社会に届けるために必要なルールや規制の枠組みとともに、実務で求められる安全性評価の具体的なステップを分かりやすく解説します。
「食経験」とは、単に「誰かが一度でも食べたことがある」という個人的な体験を指す言葉ではありません。ある特定の集団が、日常生活の中で相当期間にわたり繰り返し摂取し、安全であった実績の積み重ねを意味します。たとえば米や味噌に含まれる微生物は、人類が数百年にわたり摂取してきた長い歴史自体が、事実上「人体での安全性」を裏付けるエビデンスとなっています。
一方で、食経験がない微生物については、「培養条件による未知の毒素産生」「新規タンパク質によるアレルギー誘発」「体内蓄積による予期せぬ副作用」などのリスクが厳格に評価されます。これらを一つずつ科学的なエビデンスによって検証し、不安要素を打ち消していくことが安全性評価の基本です。
微生物を新規食品として販売する場合、国ごとに異なる規制をクリアする必要があります。日本、米国、EUの主な枠組みを確認していきましょう。
日本には欧州のような明確な「ノベルフード法」は存在しません。しかし実務上は、食品衛生法を基盤として、既存の食文化にない新規食品や成分は厚生労働省や消費者庁による個別審査・確認の対象となります。特に「機能性表示食品」を目指す場合には、安全性の質・量・信頼性について極めて高い水準の科学的根拠が必要です。昨今の制度改正により、安全性情報の届出は以前よりもさらに厳格な確認が行われる傾向にあります。
米国には、「一般に安全と認められる(Generally Recognized As Safe)」ことを科学的に示すGRAS認証制度が設けられています。新規成分や新しい用途について、独立した専門家パネルが毒性・摂取量・既存データなどを評価し、合理的に安全と判断できればGRASと結論づける仕組みです。その結果をFDA(食品医薬品局)に提出し、審査の結果「異議なし」との回答を得ることで、米国内での利用だけでなく、国際的な信頼性の裏付けとして活用されます。
EUには、1997年以前にEU域内で食べられた実績がない新しい食品を対象とする「ノベルフード規則」があります。この制度では、新しい原料・微生物・抽出物・新技術食品などを上市する前に、欧州食品安全機関(EFSA)による極めて厳格な安全性評価を受けることが義務づけられています。毒性データ、摂取量評価、栄養影響、アレルゲン性、製造プロセスの妥当性などが詳細に審査され、EFSAが安全と結論づけた場合にのみ欧州委員会が販売を認可します。
国によって規制の枠組みが違っても、安全性を証明する要素は共通しています。未知の微生物を「安全な食品原料」として定義づけるために必要な「3つの柱」を紹介します。
安全性評価の第一の柱は、「その菌が何者か」を科学的に明確にすることです。形態観察や生理学的性質に加え、現在は全ゲノム解析(WGS)が必須となりつつあり、塩基配列レベルでの詳細な特定を行います。既知の病原菌や毒素産生菌との系統的な近縁性がないこと、また抗生物質に対する薬剤耐性遺伝子を保有していないことを精査し、遺伝的背景から見た潜在的リスクを事前に排除します。
第二の柱は、生体への影響を確認する毒性試験です。一般に、国際基準であるGLP(優良試験所基準)に適合した信頼性の高い施設での評価が求められます。代表的な試験として、「遺伝子への悪影響を確認する変異原性試験」や、「動物に90日間継続摂取させ、内臓・血液・体重変化などに異常が出ないかを調べる90日間反復投与毒性試験」などが実施されます。
第三の柱は、製造工程の妥当性確認(バリデーション)です。研究室レベルの成功だけでなく、商用スケールでも品質と安全性を再現可能であることの証明が必要とされています。具体的には、培地にアレルギー物質が含まれていないこと、培養過程で意図しない変異が起きていないこと、外来微生物の混入(コンタミ)がないことを管理・検証し続ける体制が求められます。
食経験のない微生物の製品化は、研究開発がうまくいった時点がゴールではなく、むしろ本当のスタートです。事業化を検討する段階になると、多くの企業が「自社でどこまで対応すべきか」という現実的な課題に直面し、体制・コスト・リスク管理の判断を迫られます。ここでは、自社培養で陥りやすいリスクと、微生物受託培養会社を活用する実務的なメリットを整理します。
自社での事業化準備は、自由度が高い反面、現場では予期せぬトラブルが頻発します。
まず直面するのが「スケールアップの壁」です。数リットルの培養では順調でも、数千リットルの商用タンクでは収率が低下したり、副生成物の組成が変わったりすることが珍しくありません。行政審査では「常に一定の品質」が求められるので、条件の最適化に膨大な時間と試行錯誤が必要になります。
次に「サンプルの信頼性」です。毒性試験に用いるサンプルは、実際の製品版に近い製造環境で作られたものである必要があります。衛生管理が不十分な環境での試作品はデータとして受理されないケースもあり、準備不足によるやり直しは、コストと時間の両面で大きな痛手となります。
さらに初期投資のリスクも無視できません。新規微生物のための専用設備の導入や専門人材の確保には莫大なコストがかかります。市場性が不確実な段階でこれらをすべて自社で抱えることは、企業にとって大きな経営リスクを伴います。
これらの課題に対し、微生物受託培養会社をパートナーに選ぶことは、確実性の高い戦略となります。
第一に、「実績のある設備をすぐに使える」点です。GMPなどの衛生管理基準をすでに満たした専門設備を利用できるので、自社で工場を立ち上げる時間とコストを大幅に短縮できます。その結果、行政提出に耐えうる信頼性の高いサンプルを、早い段階で確保できます。
第二に、「蓄積された実務知の活用」です。多種多様な菌を扱ってきた受託会社には、どの段階でどんなデータが必要かという実務知が蓄積されています。単に培養を代行するだけでなく、規制クリアまでの道筋を一緒に考え、伴走してくれるパートナーになります。
第三に、「開発スピードとコストの最適化」です。必要な時に必要な量だけ培養を依頼できるため、過剰投資を避けられます。この柔軟性こそが、不確実性の高い新規微生物開発において、プロジェクトを最短距離で成功へ導く重要なポイントとなります。
食経験のない微生物の製品化は、研究開発後の「安全性証明」と「量産体制の構築」をスムーズに進めることが重要です。日本・米国・EUそれぞれの規制を理解し、菌株同定、毒性試験、製造バリデーションの「3本柱」が不可欠です。自社だけでこれら全てを完結させるのが難しい場合、専門の知見と設備を持つ受託培養会社を活用することは、リスクを抑えて製品化を早めるための合理的な選択肢です。
以下のページでは微生物培養の受託会社と選び方のポイントを紹介しています。あわせて参考にしてください。
増加するハラール需要…
微生物培養受託会社の
取り組みや設備を特集!
食品事業で110年超の実績を誇る老舗メーカーが"ハラール専用"工場を稼働予定。
ハラール認証を目指す企業に向けた取り組みや充実の設備を紹介します。
ここでは、「目的に応じた強み」「対応の柔軟性」「一貫した生産体制」の3つのポイントを基準として選定した、微生物培養の受託会社を紹介。
2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社から、食品用や医薬品、化粧品の目的別に選定した3社を紹介します。

食の中間原料メーカーとして110年以上の歴史と実績があり、各種食品用微生物の独自株や特殊条件の培養にも対応。
ハラール専用工場が稼働予定のため、海外展開を考えているメーカーの大量培養にも対応可能。
製造条件の検討段階でも受託でき、研究開発スタッフによる提案が受けられます。
また、試作の相談も可能で、納得できるまで改良に応じてくれるなど、要望に応じて柔軟な対応をしてくれます。

有機化学品の研究開発企業として、創薬の研究からプロセス開発、商品化までの全てのステージを支援しています。
培地や培養方法といった培養条件を提案するなど柔軟に対応。
培養条件が決まっていなくても、神戸天然物化学から提案が可能です。また、最大5,000Lまでスケールアップができるのも強み。
精製技術など様々な技術を統合して、独自の知見から幅広い要望に応える体制を構築しています。

60年以上にわたる、皮膚科学に基づく美容成分の研究で培った開発力と製薬技術を活かし、化粧品の製造から販売を行っています。
OEM・ODMまで幅広く相談が可能です。
植物や微生物など、さまざまな素材からの化粧品原料開発が可能です。
また、小ロットの依頼やオリジナル化粧品原料の開発から生産まで、幅広く対応できます。
選定条件:2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社を次のポイントで精査しています。
①目的に応じた強みがあるか
②対応の柔軟性
③OEMなど一貫したサービスを提供しているか
上記すべての条件を満たす会社のうち、以下の目的別に3社を選定しました。
・「食品用」の微生物培養:池田糖化工業・・・食品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、食品事業として最も創業が古く歴史が長い。
・「医薬品」の微生物培養:神戸天然物化学・・・・医薬品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で唯一、創薬研究からプロセス開発研究、医薬品のGMP製造まで、創薬の全工程において対応している。
・「化粧品」の微生物培養:三省製薬・・・化粧品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、唯一原料開発からOEM生産まで一貫してサポートしている。