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微生物培養受託会社を探せる-バイオ受託ラボ- » 微生物の培養を依頼する際知っておきたいこと » 食品衛生法に基づく微生物管理の重要性

食品衛生法に基づく微生物管理の重要性

食品製造業では、乳酸菌や酵母などの微生物を活用した製品を多く製造しています。 これらの食品は、消費者の健康増進に役立つ可能性があることから、市場では大変人気ですが、製造・販売・消費の工程が不適切な場合、食中毒や品質劣化の恐れがあることも理解しておく必要があるでしょう。

消費者がこれらの食品を安全に消費するためには、食品衛生法の基準を満たした微生物管理が必要となります。

微生物培養の食品衛生法の基準

食品衛生法とは、食品の製造・加工・販売に関わる全ての業務・施設に対し、食品の安全を確保するよう定めた法律です。衛生状態の維持・管理を通じ、消費者の食中毒や感染症を予防することを目的としています。

培養施設の衛生管理

GMP(適正製造基準)とは?

GMP(適正製造基準)とは、製品の品質と安全性を確保するための基準のこと。ここに言う「製品」の概念は広く、一般的な食品や微生物培養食品なども含まれています。 製造工程の管理、設備の衛生管理、従業員に対する衛生教育など、GMPの食品関連分野には様々な基準が設けられています。

HACCP(危害分析重要管理点)とは?

HACCP(危害分析重要管理点)とは、食品の製造工程において発生しうる危害の分析結果に基づき、その危害を抑えるために設定される管理上の重要なポイントのこと。原材料が製造工程に投入され、製造・販売を経て消費者の手に届くまでの間を対象に、物理的・化学的・微生物的な危害のリスクを評価し、その管理ポイントを定めて管理を実行します。

クリーンルーム・設備の衛生管理基準

食品製造工程には、クリーンルームを始めとした各種の設備が用いられますが、これら設備の管理においても厳格な衛生管理基準が求められます。 具体的な基準としては、空気清浄度や温度・湿度の管理、微生物の侵入防止対策の実行など。もちろん、定期的な清掃や消毒、従業員の衛生管理も欠かせません。

乳酸菌・酵母の培養時に必要な検査

細菌検査(異物混入・コンタミネーション防止)

細菌検査とは、対象物への細菌・異物混入の有無を確認するための定期検査のこと。乳酸菌や酵母の培養の際にも、非常に重要な工程として行われています。 細菌検査の目的は、消費者に対する食中毒等のリスクを抑えること。細菌検査により異常が検知された場合には、速やかに製造工程を確認の上、原因を特定して再発防止に努めます。

保存方法と賞味期限の設定基準

消費者へ微生物培養製品を提供するにあたり、適切な保存方法の設定と啓蒙、および、賞味期限の設定が必要となります。 保存方法については、例えば温度や湿度、光の管理に関する基準が必要。これら基準を守らない場合、微生物が不適切に繁殖したり、逆に死滅したりなどし、製品の本来の目的を果たしません。

賞味期限についても、消費者が安全に製品を摂取できる期間を計算し、適切な表示方法で消費者へ伝えます。

食品添加物との関係(使用制限や認可基準)

「食品添加物」という言葉に反射的な拒絶を示す方も見られますが、たとえば保存料や酸化防止剤などは、食品の安全性を確保する上で大変重要な役割を果たしていることも事実です。ただし、食品添加物がいかに有益な役割を果たしているとは言え、無制限に使用すれば逆に健康被害のリスクにつながりかねません。

これらのバランスを取るため、食品添加物には厳格な規制が設けられています。微生物培養製品についても、これら規制に従うよう求められています。

微生物培養を受託する際の注意点

委託先の選び方

微生物の培養を受託する際には、製造環境が適切に管理され、かつ品質や安全性が確保されている信頼できる委託先を選びましょう。 委託先を選ぶ際の基準として、GMP(適正製造基準)やHACCP(危害分析重要管理点)に対応した工場であるかどうかを確認します。微生物培養の委託先を選択する上で、これら基準への準拠は最低限の条件と理解してください。

トレーサビリティ管理

微生物培養工場において、トレーサビリティ管理が万全かどうかも確認しましょう。 トレーサビリティとは、製品の生産から消費までの流れを把握できる仕組みのこと。当サイトのテーマで言えば、微生物の培養から製造、販売、消費までの全プロセスを追跡できるシステムを言います。

トレーサビリティ管理が確立していることで、万が一、製品にトラブルが生じた際には迅速な対応が可能。また、トラブルの原因を分析し、再発防止策へとつなげることもできます。

品質試験の確認

委託先が食品衛生法に基づいた各種の品質試験を行っているかどうか、必ず確認しましょう。特に微生物検査、異物検査、保存性テストの実行の有無は要チェックです。

不十分な検査体制を原因に何らかのトラブルが発生した場合、たとえ委託先に全面的な責任があったとしても、社会的評価の点では自社にも負のイメージが付く恐れがあります。検査体制が曖昧な業者は、委託先候補から外しましょう。

まとめ

微生物培養に関する食品衛生法の基準、受諾する際の注意点などについてご紹介しました。 消費者の安全と健康を守るため、各基準や検査体制の重要性を十分に理解した上で、信頼できる委託先を選びましょう。

なお、下記のページでは、培養から加工までの一貫した受託が可能な会社、または開発から製造までの受諾が可能な会社を取り上げています。あわせて参考にしてください。

開発から製造まで対応可能な
微生物培養受託会社を探す

増加するハラール需要…
微生物培養受託会社の
取り組みや設備を特集!

工場の写真
※写真提供:池田糖化工業

食品事業で110年超の実績を誇る老舗メーカーが"ハラール専用"工場を稼働予定。
ハラール認証を目指す企業に向けた取り組みや充実の設備を紹介します。

 
培養目的別に探す「微生物 培養受託」会社3選

ここでは、「目的に応じた強み」「対応の柔軟性」「一貫した生産体制」の3つのポイントを基準として選定した、微生物培養の受託会社を紹介。

2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社から、食品用や医薬品、化粧品の目的別に選定した3社を紹介します。

「食品用」なら
池田糖化工業
池田糖化工業
引用元:池田糖化工業公式HP(https://www.ikedatohka.co.jp/)
代表的な取り扱い微生物
  • 乳酸菌
  • ビフィズス菌
  • 麹菌
「食品用微生物」培養受託会社
としての強み

食の中間原料メーカーとして110年以上の歴史と実績があり、長年培ってきたバイオ技術を活かし各種食品用微生物の培養に対応。
ハラール専用工場が稼働予定のため、海外展開を考えているメーカーの大量培養にも対応可能。

対応の柔軟性

製造条件の検討段階でも受託でき、研究開発スタッフによる提案が受けられます。

また、試作の相談も可能で、納得できるまで改良に応じてくれるなど、要望に応じて柔軟な対応をしてくれます。

培養から加工まで
一貫したサービス
「医薬品用」なら
神戸天然物化学
神戸天然物化学
引用元:神戸天然物化学公式HP(https://www.kncweb.co.jp/)
代表的な取り扱い微生物
  • 大腸菌
  • 放線菌
  • カビ
  • 酵母
「医薬品微生物」培養受託会社
としての強み

有機化学品の研究開発企業として、創薬の研究からプロセス開発、商品化までの全てのステージを支援しています。
培地や培養方法といった培養条件を提案するなど柔軟に対応。

対応の柔軟性

培養条件が決まっていなくても、神戸天然物化学から提案が可能です。また、最大5,000Lまでスケールアップができるのも強み。

精製技術など様々な技術を統合して、独自の知見から幅広い要望に応える体制を構築しています。

培養から加工まで
一貫したサービス
「化粧品用」なら
三省製薬
三省製薬
引用元:三省製薬公式HP(https://www.sansho-pharma.com/)
代表的な取り扱い微生物
  • 乳酸菌
  • 酵母
  • 担子菌
  • 麹菌
「化粧品微生物」培養受託会社
としての強み

60年以上にわたる、皮膚科学に基づく美容成分の研究で培った開発力と製薬技術を活かし、化粧品の製造から販売を行っています。
OEM・ODMまで幅広く相談が可能です。

対応の柔軟性

植物や微生物など、さまざまな素材からの化粧品原料開発が可能です。

また、小ロットの依頼やオリジナル化粧品原料の開発から生産まで、幅広く対応できます。

培養から加工まで
一貫したサービス
 

選定条件:2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社を次のポイントで精査しています。

①目的に応じた強みがあるか
②対応の柔軟性
③OEMなど一貫したサービスを提供しているか

上記すべての条件を満たす会社のうち、以下の目的別に3社を選定しました。
・「食品用」の微生物培養:池田糖化工業・・・食品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、食品事業として最も創業が古く歴史が長い。
・「医薬品」の微生物培養:神戸天然物化学・・・・医薬品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で唯一、創薬研究からプロセス開発研究、医薬品のGMP製造まで、創薬の全工程において対応している。
・「化粧品」の微生物培養:三省製薬・・・化粧品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、唯一原料開発からOEM生産まで一貫してサポートしている。