としての強み
食の中間原料メーカーとして110年以上の歴史と実績があり、各種食品用微生物の独自株や特殊条件の培養にも対応。
ハラール専用工場が稼働予定のため、海外展開を考えているメーカーの大量培養にも対応可能。
発酵や食品加工の現場で、微生物と酵素は「品質」と「効率」を同時に高める重要な技術です。近年は、新規微生物や独自株、高機能化酵素の開発が進み、商品価値づくりの選択肢も拡大。この記事では、食品・医薬品・化粧品業界を中心に、微生物×酵素が生む機能とビジネス上の可能性を整理します。
酵素は、体内や食品製造で起こる化学反応を進める“生体触媒”です。微生物は、糖やタンパク質などを分解・変換するために多様な酵素を作り出し、その力を食品加工に応用できます。狙った反応だけを効率よく進めやすく、品質の安定化や工程短縮にもつながります。
食品産業は、微生物利用の歴史がもっとも長い分野の一つです。近年は従来の「発酵」だけでなく、新規微生物や独自株、高機能化酵素が注目され、企業の競争優位性をつくる技術領域へと変化しています。目的に合わせて菌株や酵素を設計・選定し、味・香り・栄養・製造コストまでを最適化する発想が重要です。
発酵食品では、微生物の代謝と酵素の働きで、味・保存性・機能性を作り込みます。たとえば低塩でも発酵を安定させる低塩発酵の技術開発は、健康志向と相性がよいテーマです。乳酸菌は整腸だけでなく、免疫やエイジングケア領域での“高機能化”が研究され、酵母は香気成分の生成バランスを制御することで、狙いの香りづくりに近づけます。
酵素は「素材の扱いやすさ」を大きく変えます。デンプン分解酵素のアミラーゼは糖化シロップや飲料加工で活躍し、タンパク分解酵素のプロテアーゼは食感改良やアレルゲン低減のアプローチに使われます。さらにペクチナーゼで果汁の抽出効率を上げるなど、歩留まり改善にも有効です。副生成物が少ない反応設計ができれば、製造コストの低減にもつながります。
微生物培養は、機能性成分を効率よく作る手段にもなります。例としてGABAの生成、ポリフェノールの変換、オリゴ糖の生産などは、菌株選定と培養条件の設計で生産性が変わります。企業にとっては、新素材の開発や差別化ポイントの創出につながる領域です。味づくりだけでなく、素材そのものの価値を上げる設計が可能になります。
微生物発酵は、抗生物質の代表的な製法として広く知られています。ペニシリンで有名なペニシリウム属に加え、ストレプトミセス属は抗がん剤や免疫抑制剤の素材にも関わる微生物として知られます。近年は、遺伝子改変された生産菌株により、従来より高い収率を目指す研究・開発が進み、安定供給の観点でも重要な領域です。
タンパク質医薬や抗体医薬の生産では、大腸菌・酵母・糸状菌などの微生物が利用されます。哺乳類細胞に比べて低コストで、増殖が速く生産効率が高い、改変もしやすいといった利点があるためです。近年では、糖鎖制御酵素を調整した酵母などの開発も進み、より狙いに近い品質設計が検討されています。
酵素そのものを医薬品として用いるケースもあります。例として、消化酵素製剤、リソソーム病の酵素補充などが挙げられ、用途に応じた品質・安全性の担保が求められます。こうした領域では、微生物培養による大量生産が不可欠になる場面も多く、再現性の高い製造設計が重要になります。
化粧品は美容効果や肌改善機能の差別化が求められる市場です。その中で「微生物由来成分」は、処方のストーリー性と機能性の両面から注目されています。発酵の過程で成分が変換されることで、原料の魅力を引き出したり、使用感や肌なじみの設計に幅が出たりします。
発酵エキスや菌体由来成分は、保湿、肌バリア機能のサポート、透明感などを狙って配合されます。代表例として、ガラクトミセス発酵エキス、乳酸菌発酵液、酵母エキスなどが知られ、微生物の選定や培養条件で“出てくる成分の表情”が変わる点が特徴です。原料の差別化が、そのまま商品の差別化につながります。
パパイン、プロテアーゼ、リパーゼなどの酵素は、角質除去・洗浄・皮脂分解を穏やかに行う目的で使われます。化学ピーリングに比べて刺激が少ないと評価されることがあり、敏感肌向け処方の選択肢になり得ます。狙う作用と刺激感のバランスを見ながら、酵素活性や安定性を設計していく考え方がポイントです。
新規微生物や代謝産物の探索は、研究開発型企業が積極的に進める高付加価値領域です。皮膚常在菌の応用、未知の代謝産物の探索、発酵による有効成分の強化など、テーマは多様。微生物×酵素の設計は、機能の裏付けづくりにも関わるため、試作と評価を回す体制が競争力になります。
食品・医薬品・化粧品のいずれでも、微生物培養には共通の壁があります。具体的には、菌株管理(コンタミ、遺伝子変異、保存)、最適な培養条件の確立(pH、温度、溶存酸素など)、スケールアップ(フラスコ→タンク)、工場レベルでの安定生産、法規制・品質管理(GMP、ISO、各国規格)などです。これらを自社だけで解決するには、設備投資と専門人材の確保が大きな課題になります。
受託サービスを使うと、初期投資を抑えつつ研究開発に専念しやすくなります。専門家による条件最適化で安定生産を目指せ、少量〜大量までスケール対応もしやすいのが利点です。さらに菌株保管・品質保証まで一括管理でき、食品・医薬品・化粧品などそれぞれの法規制にも対応しやすくなります。
微生物と酵素は、発酵食品の高度化から食品加工の効率化、機能性成分の生産まで、差別化の打ち手を広げる技術です。自社での培養には管理・最適化・スケールアップなど課題も多いため、受託サービスの活用が現実的な選択肢になります。以下のページでは、微生物培養の受託会社と選び方のポイントを紹介しているので、あわせて参考にしてください。
増加するハラール需要…
微生物培養受託会社の
取り組みや設備を特集!
食品事業で110年超の実績を誇る老舗メーカーが"ハラール専用"工場を稼働予定。
ハラール認証を目指す企業に向けた取り組みや充実の設備を紹介します。
ここでは、「目的に応じた強み」「対応の柔軟性」「一貫した生産体制」の3つのポイントを基準として選定した、微生物培養の受託会社を紹介。
2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社から、食品用や医薬品、化粧品の目的別に選定した3社を紹介します。

食の中間原料メーカーとして110年以上の歴史と実績があり、各種食品用微生物の独自株や特殊条件の培養にも対応。
ハラール専用工場が稼働予定のため、海外展開を考えているメーカーの大量培養にも対応可能。
製造条件の検討段階でも受託でき、研究開発スタッフによる提案が受けられます。
また、試作の相談も可能で、納得できるまで改良に応じてくれるなど、要望に応じて柔軟な対応をしてくれます。

有機化学品の研究開発企業として、創薬の研究からプロセス開発、商品化までの全てのステージを支援しています。
培地や培養方法といった培養条件を提案するなど柔軟に対応。
培養条件が決まっていなくても、神戸天然物化学から提案が可能です。また、最大5,000Lまでスケールアップができるのも強み。
精製技術など様々な技術を統合して、独自の知見から幅広い要望に応える体制を構築しています。

60年以上にわたる、皮膚科学に基づく美容成分の研究で培った開発力と製薬技術を活かし、化粧品の製造から販売を行っています。
OEM・ODMまで幅広く相談が可能です。
植物や微生物など、さまざまな素材からの化粧品原料開発が可能です。
また、小ロットの依頼やオリジナル化粧品原料の開発から生産まで、幅広く対応できます。
選定条件:2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社を次のポイントで精査しています。
①目的に応じた強みがあるか
②対応の柔軟性
③OEMなど一貫したサービスを提供しているか
上記すべての条件を満たす会社のうち、以下の目的別に3社を選定しました。
・「食品用」の微生物培養:池田糖化工業・・・食品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、食品事業として最も創業が古く歴史が長い。
・「医薬品」の微生物培養:神戸天然物化学・・・・医薬品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で唯一、創薬研究からプロセス開発研究、医薬品のGMP製造まで、創薬の全工程において対応している。
・「化粧品」の微生物培養:三省製薬・・・化粧品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、唯一原料開発からOEM生産まで一貫してサポートしている。