としての強み
食の中間原料メーカーとして110年以上の歴史と実績があり、各種食品用微生物の独自株や特殊条件の培養にも対応。
ハラール専用工場が稼働予定のため、海外展開を考えているメーカーの大量培養にも対応可能。
「発酵」と聞くと、納豆やヨーグルト、味噌、チーズ、日本酒などの発酵食品を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。発酵とは、微生物が生み出す酵素の働きによって有機物を分解・変化させ、新たな成分を生成する自然のプロセスです。
この発酵の力は食品だけでなく、化粧品分野でも活用されています。微生物の働きによって生まれる発酵エキスを配合した「発酵コスメ」は、肌のうるおいやバリア機能をサポートするアイテムとして注目を集めています。
この記事では、発酵コスメに使われる代表的な微生物、発酵コスメの魅力や注意点、そして実際の製品についてご紹介します。
発酵コスメとは、酵母や乳酸菌などの微生物を利用してつくられた発酵エキス(微生物の働きにより、米などの有機物を分解・変化させて得られる成分)を配合した化粧品のことです。
発酵の過程が終わると、微生物そのものは取り除かれるため、最終的な化粧品に微生物が含まれることはありません。衛生面でも安心して使用できるのが特徴です。
発酵エキスにはさまざまな種類があり、保湿や肌のキメを整えるなど、スキンケア効果をサポートする成分として注目されています。発酵によって生成されたアミノ酸やミネラル、ビタミンなどの成分が、肌にうるおいを与える、皮膚のバリア機能をサポートする、柔軟性を高めハリや弾力を保つなどの働きが期待できます。
麹をつくるために利用されるカビの一種で、学名はアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)といいます。日本特有の微生物で、味噌・醤油・日本酒などの発酵食品に欠かせない存在です。国菌にも指定されており、日本人にとってなじみの深い菌といえます。
麹菌は米や麦などの穀物で繁殖し、酵素を多く生成する性質を持っています。この酵素が原料中のデンプンやたんぱく質を分解し、うま味成分や保湿成分を生み出します。
ある製薬メーカーが発見した「コウジ酸」は、糖を麹菌で発酵させることで生成される成分で、現在では多くの化粧品原料に利用されています。
また、麹菌を蒸した米に繁殖させてつくる「米麹」は、古くから酒づくりや味噌づくりに使われてきました。酒蔵で働く職人の手がきめ細かく美しいといわれたことから、麹菌由来の成分が肌に良い影響を与えるのではないかと注目されました。
現在では、麹菌から抽出したエキスが保湿や肌をすこやかに保つ目的でスキンケア製品に配合されるなど、発酵コスメの代表的な成分となっています。
糖をアルコールと炭酸ガスに分解する働きをもつ微生物が「酵母」です。代表的なものにはビール酵母やワイン酵母、パンづくりに使われるイーストなどがあります。酵母は種類が多く、使用する株によって味や香りが変わることが特徴です。
酵母は、自らが持つ酵素の働きによって、でんぷんやショ糖をブドウ糖などに分解し、それを炭酸ガスやアルコールなどに変化させます。
化粧品分野でも、酵母由来の発酵エキスがさまざまな形で活用されています。ある製薬メーカーでは、大麦と酵母を掛け合わせ、特殊な条件で培養・精製することでオオムギ発酵エキス(酵母エキスWHⅡ)を開発しました。このエキスは、肌のキメを整え、透明感のある肌に導く美容成分として注目されています。
乳酸菌は、糖を分解して乳酸を生成する微生物で、ビフィズス菌やガセリ菌などが代表的です。腸内環境を酸性に保つことで、悪玉菌の増殖を抑える働きがあり、ヨーグルトやキムチ、チーズなどの発酵食品に多く含まれています。
近年では、乳酸菌を利用したエキスがスキンケア成分としても注目されています。乳酸菌由来の発酵液は、アミノ酸やペプチドなどを含み、肌のうるおいを保ち、すこやかに整える働きがあるとされています。たとえば、豆乳を乳酸菌で発酵させた「豆乳発酵液(豆乳イソフラボン)」を配合したコスメは、肌にツヤやハリを与え、乾燥による肌荒れを防ぐ成分として用いられています。
酢酸菌は、アルコールを酸化させて酢酸をつくる細菌です。酢やナタデココなどの発酵過程で利用される微生物として知られています。酢酸菌がアルコールを酢酸に変えると、環境のpHが低下し、他の微生物が繁殖しにくくなるため、発酵食品の保存性を高める働きがあります。
化粧品分野では、酢酸菌の発酵過程から得られるPHA(ポリヒドロキシ酸)という成分が注目されています。PHAは、角質をやさしくケアしながら肌のキメを整え、なめらかでうるおいのある状態へ導く働きがあるとされています。
刺激が少なく、AHA(フルーツ酸)などに比べて穏やかに作用するため、敏感肌の方にも取り入れやすい成分として人気があります。
担子菌は、キノコ類に多く含まれる微生物の一種です。ある製薬メーカーでは、「アワビタケ」の一種であるオオヒラタケの菌を培養し、独自の精製方法によって有用成分「ファーバイオPC」を抽出することに成功しました。
このファーバイオPCは、肌をすこやかに整え、うるおいとハリを与える成分として注目されています。また、乾燥などで荒れがちな肌をなめらかに整え、健やかな肌環境を保つサポートをするといわれています。
発酵コスメのメリットは、発酵の過程で成分が細かく分解されることで、肌になじみやすくなる点にあります。
ビタミンやミネラル、アミノ酸、タンパク質などの保湿成分を含み、乾燥が気になる肌にうるおいを与え、しっとりとした状態を保ちます。また、発酵由来の成分は肌のキメを整え、すこやかで明るい印象の肌を保つサポートをします。発酵コスメは、自然由来の成分を活かしたスキンケアとして注目されており、肌にやさしい使用感が魅力です。
たとえば、酵母エキスには、肌を外的刺激から守り、うるおいを保つ働きがあるとされ、乳酸菌エキスは、肌をすこやかに整え、みずみずしさを保つサポート成分として利用されています。
発酵エキスには、原料や発酵過程に由来する独特の香りがある場合や、配合されているアルコール成分が肌に刺激を与えることがあるため、敏感肌用の製品開発では注意が必要です。
また、発酵コスメは自然由来の原料を使用しているため、製品ごとに色味や香り、使用感が異なることがあります。これらは品質のばらつきではなく、天然成分特有の個性といえます。
発酵エキスにはさまざまな成分が含まれるため、目的に合った製品づくりに合致した成分を選ぶことが大切です。
発酵エキスを配合したスキンケアアイテムは、肌にうるおいを与え、すこやかに保つ働きがあります。化粧水・乳液・シートマスク・クリームなど、日常の基本ケアからスペシャルケアまで幅広く活用されています。発酵由来の成分を取り入れることで、角質層までうるおいを届け、ハリとツヤのある肌印象へ導きます。
代表的な製品では、酵母発酵成分「ピテラ™️」を配合した化粧水があり、乾燥やくすみが気になる肌をうるおいで満たし、透明感のある印象をサポートします。
化粧水の前に使用する導入美容液は、肌をやわらげ、次に使うスキンケアアイテムがなじみやすい状態に整える用途で使用されています。発酵エキスを配合した導入美容液は、保湿成分が角質層までしっかりと行き渡り、乾燥による肌のカサつきを防ぎ、なめらかな肌へと導きます。
たとえば、米ぬか発酵液を配合したアイテムは、自然なうるおいを与え、しっとりとした肌触りをサポートします。
発酵エキスを配合したヘアケア製品も登場しています。シャンプーやスカルプエッセンスには、頭皮や髪にうるおいを与え、すこやかな状態を保つ働きがあります。
たとえば、豆乳発酵液は毛髪を保湿し、なめらかに整える成分として知られています。また、米ぬか発酵液・はと麦種子発酵液・大麦種子発酵液を配合したシャンプーやコンディショナーは、髪と頭皮にうるおいを与え、ダメージを補修してまとまりやすくする効果が期待されています。
発酵エキスを配合した日焼け止めは、紫外線による乾燥や肌ダメージを防ぎ、うるおいを保つスキンケアアイテムとして注目されています。発酵由来の保湿成分が角質層までうるおいを届け、肌をすこやかに整えながら、明るくなめらかな印象の肌へ導きます。
保湿力が高く、自然由来の発酵エキスを取り入れることで、紫外線対策とスキンケアを同時に叶えるアイテムです。
発酵コスメは、スキンケア、導入美容液、日焼け止め、洗髪剤など、さまざまなアイテムに展開されています。麹菌・乳酸菌・酵母菌などの微生物を活用してつくられた発酵エキスを配合した化粧品は、肌のキメを整え、うるおいを与え、紫外線による乾燥を防ぐ働きが期待されています。
また、天然由来の発酵原料を取り入れたコスメは、ブランドの独自性を高めたい場合にも有効です。
以下のページでは、微生物培養を受託しているおすすめの企業や選定のポイントを紹介していますので、あわせて参考にしてください。
増加するハラール需要…
微生物培養受託会社の
取り組みや設備を特集!
食品事業で110年超の実績を誇る老舗メーカーが"ハラール専用"工場を稼働予定。
ハラール認証を目指す企業に向けた取り組みや充実の設備を紹介します。
ここでは、「目的に応じた強み」「対応の柔軟性」「一貫した生産体制」の3つのポイントを基準として選定した、微生物培養の受託会社を紹介。
2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社から、食品用や医薬品、化粧品の目的別に選定した3社を紹介します。

食の中間原料メーカーとして110年以上の歴史と実績があり、各種食品用微生物の独自株や特殊条件の培養にも対応。
ハラール専用工場が稼働予定のため、海外展開を考えているメーカーの大量培養にも対応可能。
製造条件の検討段階でも受託でき、研究開発スタッフによる提案が受けられます。
また、試作の相談も可能で、納得できるまで改良に応じてくれるなど、要望に応じて柔軟な対応をしてくれます。

有機化学品の研究開発企業として、創薬の研究からプロセス開発、商品化までの全てのステージを支援しています。
培地や培養方法といった培養条件を提案するなど柔軟に対応。
培養条件が決まっていなくても、神戸天然物化学から提案が可能です。また、最大5,000Lまでスケールアップができるのも強み。
精製技術など様々な技術を統合して、独自の知見から幅広い要望に応える体制を構築しています。

60年以上にわたる、皮膚科学に基づく美容成分の研究で培った開発力と製薬技術を活かし、化粧品の製造から販売を行っています。
OEM・ODMまで幅広く相談が可能です。
植物や微生物など、さまざまな素材からの化粧品原料開発が可能です。
また、小ロットの依頼やオリジナル化粧品原料の開発から生産まで、幅広く対応できます。
選定条件:2023年7月21日時点、Googleで「微生物 培養受託」を検索した際に公式HPが表示された培養受託会社を次のポイントで精査しています。
①目的に応じた強みがあるか
②対応の柔軟性
③OEMなど一貫したサービスを提供しているか
上記すべての条件を満たす会社のうち、以下の目的別に3社を選定しました。
・「食品用」の微生物培養:池田糖化工業・・・食品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、食品事業として最も創業が古く歴史が長い。
・「医薬品」の微生物培養:神戸天然物化学・・・・医薬品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で唯一、創薬研究からプロセス開発研究、医薬品のGMP製造まで、創薬の全工程において対応している。
・「化粧品」の微生物培養:三省製薬・・・化粧品関連事業を中心に展開している微生物培養受託会社の中で、唯一原料開発からOEM生産まで一貫してサポートしている。